働く意味や目的のイノベーションが求められる時代
そもそも何のために働くのか?誰のために働くのか?
働く目的や意義を、自分自身で吟味し消化しないままに就職活動してしまっている学生が多く見受けられます。
中学/高校や大学でキャリア教育がようやく浸透して来ています。
2020年からは学習指導要領で、初等教育にもキャリア教育実施の計画が提示されています。しかし、企業人教育の観点からすれば、これらの内容は残念ながらまだまだ就職活動のスキル教育に毛が生えたものにしか見えないのが現実です。
キャリア教育は進んできていますが、企業では依然として以下のようなことが起き、人事部門担当者の方の課題のひとつになっています。
たとえば、
・就職後3年以内に転職する新卒(大卒)が20%~30%台という数値が減らない
→退職理由:理想と現実が乖離している、したい仕事をやらせてもらえない、
仕事量と収入のギャップ、人間関係、先輩をみると将来の不安を痛感する・・・
・新入社員の育成が年々難しくなり、育成コストが嵩む
→マネジャーそのものが、人材育成が不得手になってきている
→新人は高学歴で頭は良いけど使えない(と感じる上司が多い)
→新人にとって、メンターのような相談できる年齢が近い先輩がいない
→打たれ弱い、すぐにメンタル不調を来たしてしまう(と思われてしまう)などなどです。
企業人財育成コンサルタントとしては、これらの問題に対しては様々な要因を考えることができます。それぞれの課題に対し、
多面的なソリューションを提供していますが、問題の根本は、若い人たちの「働く」意識が多様化してしまっていることに起因していると理解しています。
少子高齢化の波によって、大学全入時代になると言われますが。しかし依然として一部の受験競争は激しく、小学校高学年から塾通いをし、
より良い中学・高校・大学への道を歩もうとするこどもたちは減らないのが実情です。
そして、こどもたちは、社会に出て何のために働くのか誰のために働くのか、を考える余裕も無く、
多くの時間を勉学に割いているのが現実です。
このようなこどもたちは、勉学に多くの時間を割いてしまい、良い大学へ入学しその後社会に出て何をしたいのか
明確なビジョンを持っ余裕がないのではないでしょうか。
「こどものためのキャリアクエスト」は、勉学にエネルギーを注ぐ目的のひとつに、
少しでも「何のために?」「誰のために?」「その目的は?」を考えるきっかけとなる「場」を提供したいと考えています。
少子高齢化の影響で、私学の小学校入試は、極々一部の超難関小学校を除いて入学しやすい環境になっています。しかし、私学に子女を入学させようとする保護者の方々の意識は、時代が大きく変化している割にはあまり変化していない印象です。
「いったん入学すれば、エスカレーター式に大学まで行けて一安心」
「中高一貫教育につながるので、将来的に良い大学にいける環境を手に入れられる」
など、「良い学校に行けば、この子の将来はひとまず安心」と思っている方は少なくありません。
何十年か前の高度成長期なら決して間違いとはいえませんが、現在のような多様性で不確実な時代には必ずしも、良い学校に入学すれば未来が保障されるわけではありません。
しかし、現状ではこどもたちが、ひとまず良い小学校中学校高校を目指すように保護者から指導を受ける場合が多いのです。
そのとき、少しでも勉強の目的、勉強して社会に出て、どのようなものに役立つのか、誰にとって役立つのか、自分自身の強みや持ち味をどのように活かして世の中に役立てるのか、を少しでも考える力を付けることによって、勉強そのものの意味や目的も、より良い学校への進学だけではなく別の輝きを持って見えてくるのではないかと思います。
「こどものためのキャリアクエスト」では、様々な角度からこどもたちの可能性を広げるアプローチを考えています。
ただあてもなく、よい中学高校大学を目指すのではなく、社会に出て何のために誰のために役立つ仕事をするのか?を考える「場」をご提供したいと願っています。
Pドラッカーの書籍を読むと、よく出てくるたとえ話があります。
大規模な建物を建築中の工事現場で、3人のレンガ職人が働いていました。
3人は、同じ仕事をしているのに、それぞれの働き方と仕事の出来栄えがまったく違っていました。
一人は嫌々そうに仕事に取り組み、仕事の出来栄えも悪く、もう一人も辛そうに仕事はしているのですが最初の人よりはまともな仕事をしていました。3人目は生きいきと目を輝かせて元気に仕事をしていましたし、その仕事ぶりも一番良いものでした。
3人は同じ仕事をしているのに、働き方や仕事の内容が違うことに興味を持ったある人が、3人に近づいて、それぞれに「何をしているのですか?」と問いかけました。
すると、最初の職人は、「3食にありつくため、食うためにこれをやっているのです」。
2番目の職人は、「肉体労働できついけど、お金を稼ぐためにレンガを積んでいるのです」。と答えました。
最後の職人は、「私は今、ヨーロッパ最大の大聖堂を建築している素晴らしい仕事をしています。」という返事がありました。
同じきつい肉体労働でも、その目的意識の差によって働く意欲も仕事の生産性も違ってくる、という有名なお話です。
働く目的を問われれば、生きるため、自分自身の生活を守るため、家族の生活を守るため、という目的を口にすることは当然あると思います。
また、より良い生活のためにお金を多く稼ぐことを働く目的にすることもあると思います。
私たちは、そのことを否定するつもりはありません。しかし、同じ働くのであれば、3番目の職人のように、自分自身の誇りになること、世の中に役立っている実感など、何か心に働く意味の宝物を秘めて働くことも出来たら素晴らしいのではないかと考えます。
働く目的は単にお金のため、生活のため、だけではなく、同じ働くのであれば生きいきと働き甲斐ややりがい、誇りを持って働くほうが幸せなのではないかとおもいます。
「こどものためのキャリアクエスト」のプログラムに参加されることにより、小さいうちから、自分らしい働く意味や意義を考える機会を持ち、少しずつでも自分自身の将来を考える力を養うことが出来たらと願っています。